インドのバイクシェアが絶賛混乱中!

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ホンダの凋落に乗じた欧州・北米バイクメーカー

TOPページ > 最新ニュース > 500ccハーレーが登場!? | いまインドで起こっている事

 

公開日:2013年09月06日
最終更新日:2013年09月18日

この記事の所要時間: 88

どうしてハーレーがインドでバイクを作るのか

ハーレーダビッドソンが500ccモデルをインド市場に投入するとのニュースが入ってきました。(Asphalt & Rubber Motorcycle News)
今時はどこのメーカーがアジアのどこでバイクを作っても驚くことではありません。
ですが、中には不思議に思っている方も多いのではないでしょうか?
 
「US以外でハーレーなんか作ったって、ブランドイメージ損なうだけだろ!?」
 
なんて誰でも多少は思いますよね。
それでもなぜ自動車・二輪メーカーはこぞってアジアに向かうのか。そんな事はすでに知っているというかたもいるでしょうけど、ここでおさらいをしてみようと思います。
 
いまから12年前、ハーレーの偉い人が「高級からポピュラーへ」というスローガンを掲げました。その理由はいまこの12年後にあったのです。

バイクは道具(実用車)として広がり、自動車にその地位を追われ、嗜好品へと昇華する

最近、文章を書いているとつい熱が入って長文になってしまいます。
すでにお腹も空いてきているので今日はさっさと書いていきます。
 
日本で起こった事が世界の国々、直近で言えばアジアで起こっているということです。
おっさん世代の方は思い出してください。バイクが実用車として愛されていた時代を。
もちろん好事家が外車を乗り回していたりもしていましたが、販売される自動二輪はほとんどが実用車でした。それが高度成長期に三種の神器、3Cを経て、日本ではゆっくりとですが実用車としての役割が自動車へと置き換わりました。
バイクは実用車としての役割が日常の足代わりのスクーターや配達用途のビジネスバイクといった限定的なものになり、趣味性の高いものへと徐々にシフトしていきました。
この流れがあらゆる国で起こります。目下アジアの国々はこの流れの真っ最中です。しかも日本のときよりも早く。
 
今は趣味性の高いバイクをボリュームのない好事家に50万台売るよりも、実用車としてバイクを必要としている人に1000万台売る。ついでに月日が流れ、その国の好事家に「やっぱりバイクは○○○じゃなきゃね!」と言ってもらえるようになりたい。
 
これが、いま日本のバイクメーカーが考えている事です。
一度市場の信頼を得られれば、それはとても素晴らしい財産になります。将来の利益を確保するのもバイクメーカーの仕事ですから。
その国でスポーツバイクが売れるようになったときに
「ド●●●●?B●●?ハ●●?テラガラクタwwww選ぶなら日本車だろJKwwwwww!」
と草を生やして言われるようになりたいと夢想しながら日本の二輪メーカーは日々頑張っているのです。
インド人から見て、ハーレーダビッドソンははたして目指したポピュラーな外車になれるでしょうか?
12年前ならまだしも、ハーレーダビッドソン自身、インドに進出に対して、今はそのような期待はしていないと思います。理由はおいおい。

とにかくインド市場が欲しいのです!

ジェトロなんかが最近まで(今もですが)中国押しを続けていました。中国の人口が魅力なのだそうです。
 
中国は確かに今の人口は13億人を越えて世界一です。しかし人口比率のバランスが良くありません。日本と同じく少子高齢化。大きな貧富格差。雲行きの怪しい国家間の日中関係。中国人の反日感情。そして輸出主導型の経済成長
いくらジェトロが「今が旬!」なんてPOPを派手に張ったところで、二輪業界から見るとなんかビミョーな感じのする市場です。
 
かたやインドはどうでしょうか?
世界中で販売される二輪車の1/4はインドで買われています。世界最大の二輪市場です。人口比率は見事なピラミッドを描いています。とても途上国らしいです。2021-2025年の間に人口は世界一となる予測です。中国とパキスタンが仲がいいので、インドは面白くありません。なんとなく敵の敵は味方!みたいな雰囲気で日本はインド、ASEAN諸国との親密度も徐々に上がっています。インド人に反日感情はあまりありません。中国と同様、貧富の格差はありますが内需主導型の経済成長を続けており安定感があります。既に世界最大の二輪車販売大国であり中長期的な成長も見込めます。
 
世界中の二輪業界はすでに中国に目を向けていません。もちろん無視はできませんが、魅力的かといえばそれほどでもありません。それよりも各社インドで市場の信頼という覇権を握りたくて仕方がないのです。見ているのは中国ではなく将来性のあるインド市場と周辺のアジア新興国経済圏です。

道が欧州製バイクを拒絶している

インド・アジアの道はヨーロッパ・北米のスポーツバイクにとってあまり相性が良くありません。
ひらたく言うと路面の状態が悪すぎるのです。観光客の多い場所や幹線道路は比較的綺麗ですが、住民の生活圏はまだまだ舗装もされていない所が多くあります。
いまのインド・アジア経済圏で求められているバイクは、軽量で耐久性のある足回りを持っている110ccクラスのバイクです。もちろん実用車として。
趣味性の高い車両が売れるようになるまでに、まだ時間がかかります。
そして、日本はそんな丈夫で軽量バイクを作るのが得意です。高級路線も随時ラインナップしているので、市場の要求さえ起こればいつでも販売できます。
これだけのインド・アジア諸国への対応力を持っているメーカーは日本以外にほとんど存在していません。

インドにおけるホンダの凋落

すでに勝負は決しているといっていいアジアの覇権争いですが、インドではちょっと様相が異なります。
ホンダはインドの現地財閥との間に合弁会社を20年以上前に設立しました。その合弁会社ヒーローホンダはインドにおいて58%のシェアを持っていました。ところが、ホンダは2011年にヒーローとの合弁を解消し、独自路線を歩き始めました。
そしてホンダの現地法人「ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア」のシェアは14%まで低下してしまいました。
 
独占状態だったシェアが砕け散り、群雄割拠の時代へ逆戻りをした格好です。
これを進出の機としたのか判りませんが、ハーレーダビッドソンやその他の二輪メーカーがインドでの新工場設立や増産に踏み切りはじめたのが今回の出来事です。
しかし、欧州・北米メーカーは決して110ccの軽量バイクで儲けたいわけではありません。インド・アジアへ進出する理由は日本のメーカーとは少し違っています。
 
日本のメーカーはその国の実情に合った実用車を販売しています。
ハーレーダビッドソンはインド国内においてあくまで高級車路線で富裕層に狙いを定め、今後も趣味性の高いモデルだけを販売するはずです。
インド・アジア新興国市場は母数が多いため無視できる市場ではないというだけです。高級路線を進むにしても認知度向上の為に、軽量で耐久性のある足回りを持ったモデルを多少出荷するだけでしょう。(もちろん勝手な憶測ですけど)
いまさら手強すぎる20年以上、現地で愛された日本バイクメーカーや現地最大メーカーと競合するバイクを作ったところで見向きもされないでしょう。するなら12年前、ポピュラーを目指した時にすぐに動くべきでした。今となっては後の祭りです。残念ながらハーレーダビッドソンがインドでできることは、日本やヨーロッパでの展開と変わらない売り方しか残っていないのです。
タイでスクランブラーを生産する予定のドゥカティにも同じことが言えます。
 
東南アジアでの覇権は既に勝敗が決しました。日本バイクメーカーの圧倒的勝利で幕を閉じています。
欧州・北米バイクメーカーにとってインドは辛うじて日本に一矢を報いる可能性のある、世界最大の市場です。
 
2020年頃にはホンダの圧勝で幕を閉じそうな気配ですが、インドの二輪シェア群雄割拠の行く末を眺めるのも、ツーリングに出かけられない雨の日のヒマつぶしには良いかもしれませんよ!
 

インドにおける日本メーカーの無双具合

ホンダ・第一工場ハリアナ州グルガオン地区(稼働中)
ホンダ・第二工場ラジャスタン州アルワル地区タプカラ工業地域(稼働中)
ホンダ・第三工場カルナータカ州ナルサプール地区(2013年5月稼働開始)
※ホンダはインドにおいて2020年に年間生産台数1000万台を目標としており、数年以内に複数の新工場を建設することが予想されています。
 
スズキ・グルガオン工場(2006年3月稼働開始)
スズキ・ハリアナ州ロータック工場(建設中)
※自動車でインド最大手のスズキは今二輪どころではないはずです。一時は50%を越えるシェアを誇りましたが、現在は3割を切っている状況です。二輪の生産体制については目立った動きはないでしょう。
 
ヤマハ・インド工場(ニューデリー近郊)
ヤマハ・チェンナイ新工場準備中(2014年稼働予定・取得済)
※インド進出に出遅れたヤマハは年間100万台生産の体制を整えつつあります。2018年には両工場にて年間280万台の生産を目指します。
 
※その他、日本の部品メーカーがインドで新工場建設しています。


 

 



 

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