原因から逆引き!ハンドリングの異常・違和感

ブレーキレバー メンテナンス

原因から逆引き!バイクのハンドリング異常・違和感対策

バイクのハンドリング

意外に思うかも知れませんが、ライダーは日常的にバイクのハンドリング異常や違和感を感じています。違和感や異常はライダーの体が先に気がついて無意識に補正してしまうことも多いので、気がついていないことも多いです。ですが経験が豊富なライダーは、日々消耗する愛車のコンディションに敏感です。バイクの各部の消耗度をある程度把握しているので、不調の原因がなんなのか、アタリを付けることが出来ます。

不調の原因はとても種類が多くすべてを経験するにはひとつのバイクに長く乗り続ける必要があります。その上、不調の原因がひとつだけとは限りません。いろんな原因が重なり合ってひとつの不調を発生させることもあるのです。もしあなたが今、ハンドリングに違和感や異常を感じたのなら、その原因が何なのか納得がいくまで追求することこそが、あなたのライダーとしての知識やライディングを向上させる血となり肉となるのです。

たとえ不調を感じても「バイクが壊れちゃったのかな、古くなっちゃったのかな」なんて気落ちせず、知識を深める機会を得たのだと、状況を楽しむくらいの勢いでトラブルを乗り越えていきましょう!

なぜなら、バイクは機械なのです。不調の原因をちゃんと取り除くことができれば、いつまでも乗り続けることができるのですから。

さて、症状に合わせて原因を特定していくのが正道なのですが・・・ライダーも自分の症状に対する対策を調べたいところでしょうけど、この記事を書いている奴は天の邪鬼なので、逆から解説を試みることにしました。

でもちゃんと理由はあるんですよ!

たとえば、「バイクがまっすぐ走りません!どこが悪いのでしょうか?」と、2ちゃんねるやどこかの掲示板で質問したらほぼ間違いなく「原因が沢山ありすぎてそれだけじゃ特定できませんよ。もっと詳しく!」と反対に聞かれます。

このサイトでは、初心者ライダーがもっとバイクを知りたくなる、自分で考えて対策できる初心者を育てるという事が目的ですので、実際のところ、個別の症状を解決に導く気はハナからないのです!!!

ですから、ここでは「ある原因が、どんな症状を引き起こすのか」という解説に徹します。しっかり最後まで読めば、きっとあなたの症状を改善するヒントがあるはずですので、どうぞあなた自身で答えを導き出してください!

ハンドリング異常の症状

とはいえ、どんな症状があるのか、ある程度知っておかないと、一体何の話をしているのか読み手も書き手も忘れてしまうかも知れません。簡単によく聞かれるハンドリングの異常・違和感を書き出してみます。

バイクがまっすぐに走らない
低速で曲がるときにハンドルが重い
コーナーでハンドルが切れ込む
コーナーでハンドルを内側に強く押して切ってやらないと曲がらない
コーナーでハンドルを逆に切らないと曲がらない
ハンドルが激しく振動する(低速・高速・直線・コーナー問わず)
フロントの接地感がまったくない
コーナーリング中、トラクションが掛かっている時だけ異音
コーナーリング中、バイクが前後にガクガクと振動する
停車するときにバイクが激しく震える

他にも症状はいろいろあると思いますが、症状として共通のものを挙げるとしたら曲がらない、まっすぐ走らない、振動、異音が主なものになります。
これらの症状も程度の軽いものから重いものまで、いろんなバリエーションがあります。
こういった症状は一体どんな原因によるものなのか、ここから先は原因を解説していきます。

ハンドリング不調の原因とは

ひとつの不調・違和感の原因がひとつとは限りません。疑わしい原因をひとつずつ対処していく毎に直ったかどうかを確認する地道な作業です。
どんな調整がハンドリングにどんな影響を与えるのか、実際に体験しながらの作業はあなたのライディングスキル向上と問題解決能力をきっと向上させます。

タイヤの空気圧を疑う
ハンドリングに大きな影響を与える代表選手はタイヤの空気圧です。

バイクが起き上がろうとする。寝かせにくい。接地感がない。ハンドリングが重い。ブレーキをかけるとすぐに滑る。

こういった症状の際にはまず最初に疑うべき原因です。
バイクの説明書に載っている空気圧に合わせてください。もしあなたが調子の良かった時の空気圧を記録している抜け目のないライダーなら、その調子のよかった時の空気圧に合わせましょう。
適正空気圧というのも実はくせ者で。説明書に記載のある適正空気圧以外は絶対にダメ!というライダーもいれば、若干落とした方がいいというライダーもいます。
バイク初心者の場合、しばらく指定空気圧に徹底的に合わせて走ってみてはいかがでしょうか?
空気圧を大幅に変えたりせず、指定空気圧の1割以内の範囲で変化の違いを感じ取れるように経験を積むのをオススメします。

タイヤの消耗・編摩耗を疑う
これもハンドリングに大きな影響を与えます。ただ、摩耗は徐々に起こるため、ライダーが気づきにくい点が空気圧と異なります。
まっすぐばかり走っていたら中央が平らになったり、端ばっかり使っていたら三角形になったりしている状態です。
これが原因なら、タイヤを交換するしか対策法はありません。
これといった予防策はないのですが、たとえばタイヤ自体を耐久性のあるツーリングタイヤを履くとか、端が余るならもっと端の柔らかいハイグリップタイヤを履くなどといった工夫をオサイフと相談しながら実施してみてください。
消耗という点からは、タイヤに初めて熱が入ってから(タイヤの初走行から)3年くらいで使い切るのが、経済的にも性能的にもバランスが良いと言われています。交換後のタイヤは雨水をすったり、直射日光(紫外線)に曝されることでコンパウンドの劣化が進むといわれています。バイクの保管環境が、たとえば直射日光の入らないガレージと、雨や直射日光にさらされ温度変化も激しい駐輪場だとタイヤの劣化速度も違ってきます。
そういった事も考慮して、タイヤは3年程度で使い切るのが良いと思います。気を使いすぎる必要はありませんが。
フロントフォークの歪みを疑う
これもハンドリングに影響が大きな原因のひとつで、直すためにお金が掛かるという点で重傷です。
簡易的に定規をフォークに当てれば目視である程度確認できるので発見はしやすいです。
フォークのOHを自分でできるなら、インナーチューブを2本、密着させて並べます。インナーチューブを手で回転させ、裏からの反射の光が部分的に大きい場合、そこにわずかな歪みがある可能性があります。
フォークの歪みは事故や転倒など、大きな力がかかることで起こります。
フロントフォークが物理的に曲がっていなくても、フロントフォークの取り付け自体が正しくない場合もハンドリングに影響を与えることがあります。
組み付けの手順を間違えたり、フロントフォークをバイクの上で掴んでいる部分が衝撃でズレたり、元々取り付けが粗雑な場合起こります。
ここが疑わしいけど自分で判断できない場合、バイクショップで確認してもらう必要があります。
ステムベアリングのグリスアップと再調整(内部リンク)
ステムベアリングの調整や正立フロントフォークの芯出しの具体的なやり方の記事です。
ステムベアリング(とその周り)の消耗・摩耗を疑う
ハンドルを左右に切ってみると、途中で引っかかりやガタつき、振動、異音、ガリガリする等の症状があり、ハンドリングには曲がらない、まっすぐ走らない等の影響を与えることがあります。
フロントタイヤを浮かせて、ハンドルを切ってみたり、フロントフォークを前後に動かしてガタを見ることでチェックできます。
左右に切って引っかかりがある場合、ステムベアリングを増し締め、緩めで症状をボカすことが出来る場合がありますが、しばらくすると再発するのでオススメできません。素直にバイクショップで消耗した部品を交換してもらいましょう。
ホイールベアリングの消耗・摩耗を疑う
これも基本的に発見しやすい症状です。タイヤを空転させて異音や振動を発し、スムーズに回転しない場合疑ってください。
派手に壊れてくれていると発見しやすいのですが、特定条件でしか異音や振動を出さない場合があるので注意が必要です。
たとえば、コーナーでタイヤが地面にぐっと押さえつけられた状態でのみ「ガリガリガリ・・・」と鳴る例があります。
確実なのはホイールを取り外し、ベアリングを手で回してゴリゴリする様ならベアリングの寿命の可能性があります。
定期的にグリスアップすることで部品の寿命も延びるので、日頃から手を入れたい項目です。

ホイールベアリングのグリスアップ

ブレーキディスクの歪みを疑う
軽くブレーキをかけると前後にバイク全体が振動する等の症状が伴います。また、歪みがブレーキディスクだけでなく、ディスクをホイールにマウントしているハブの歪みや、ホイール自体の歪みも同じ症状を引き起こすことがあります。
ブレーキが引っかかる様に感じたら、ホイール周りのどこかが歪んでいることを疑ってみましょう。
この項目は日々更新しています。たまに新しい項目がないかと見ていただければ嬉しいです。
何か違和感を感じたら、原因を直感でもいいので想像できるようになれば、立派な脱・初心者ライダーです!