G650GS

ブースタープラグの仕組み

投稿日:2020年8月8日 更新日:

モードセレクタの完成

今回のブースタープラグキャンセラー改め、ドライブモードセレクタ機能追加ハーネスの作成にあたり、計測して分かったことを記録します。

一部必要な場合を除き、具体的な計測数値は出しませんが、ブースタープラグの理解に必要な情報はできるだけ書き記したいと思います。

【注意書き】
ここで取り扱っているのは、BMWのG650GSという車種についての情報です。
他メーカー、どのバイクにも通じる内容もあるかと思いますが、他車種においてまったく異なることもあるかもしれません。
このことをご理解の上、ご活用いただければと思います。

※2020/08/14,17
内容を一部修正しました。

机上論だ!どうやって6%多くガソリンを吹かせたらいい?

理想的な空燃比よりも多くのガソリンをインジェクターに吐かせて、6%濃いガスをシリンダーに送り込むのがブースタープラグの目的です。たぶん。

どうやったらそれを実現できるのかというと、気温が20度のときに、『いまの気温は4.5度ですよー』とバイクのECUに認識させてやればいいのです。

どうして15.5度も低い気温に誤認させる必要があるのかというと、シャルルの法則です。

シャルルの法則は、同じ気圧下において、気体温度が1℃上昇すると、気体体積は 約0.366% 増加する現象を表したものです。

つまり、温度が高くなると体積が増えて、気体の密度が下がるのです。
気体の密度が下がれば当然、同じ体積あたりの酸素の量も減ります。

だから、実際の気温よりも15~16 ℃低い温度だとECUに認識させることで、ECUは酸素量が6%多いと誤認し、インジェクターから6%多いガソリンを吐いてくれるようになります。

検証の仕方は、シャルルの法則から体積の変化、そして体積が変化しても酸素分子の量が変わらない点から、酸素密度の変化を計算してください。

体感でいい方向に変わるんなら、細かい数字なんてどうでもいいですけどね。

実測だ!メーカー純正の吸気温センサーの温度特性

サーミスタは気温が低くなると抵抗値が増え、気温が高くなると抵抗値が減ります。
この抵抗値の変化から気温の変化をECUが読み取っています。

気温20 ℃のとき

純正サーミスタの抵抗は約7 kOhm。

ブースタープラグの抵抗は約8.24 kOhm。

純正サーミスタの抵抗値+ブースタープラグの抵抗値は約15.24 kOhm。

15.2 kOhmというのは、ECUにとって、気温3 ℃前後に相当する抵抗値です。

気温差約17度。

この実測値が正確だとすれば、6.6%ガスを濃くする方向にECUが働くと推測されます。

今回使ったデジタル温度計よりもブースタープラグのサーミスタの方がかなり反応速度が速く、測定結果はそれほど正確ではありませんが・・・
その割に思ったより近い数値が出た気がします。

ここがすごい!ブースタープラグのえらいところ

ブースタープラグは気温により加える抵抗値を変化させています。
約15度の気温を誤魔化すためには、気温40度前後の場合、ブースタープラグが発生させる抵抗は数 kOhm程度です。
しかし極低温時においては、おそらく20 kOhm以上と、ブースタープラグ自体、結構広い抵抗値の変化が求められます。

ところが極低温時においては、NTCサーミスタは必要以上に抵抗値を上げがち。
その問題を解決する方法として、56 kOhmの固定抵抗を並列に接続し、極低温時において必要以上に大きな抵抗値とならない工夫がされています。

都市部と郊外の移動、トンネル入ったり、標高上がるなどなど、気温と酸素密度はダイナミックに変化します。
だからブースタープラグがとった、追加サーミスタという手段はとても理にかなった方法なのだと判ります。

しっかり基盤や配線、防水を施して、流通経路も確保して、この価格、2万円なら、納得です。
できる人は自作で2000円で作れるかもしれませんが、作るための工具、部品の選定もろもろ。
純正サーミスタの試験から実走テストまで、とてもじゃないですが、自分でやろうと思う内容ではありません。
それが趣味でもない限り。

自作検討より購入が圧倒的にオススメ。高いけどね。

とはいえブースタープラグも商売上手だなと思ったところもある

BMWというメーカーは部品の共通化に力をいれていて、G650ccのフォークスプリングやダンパーチューブなどがF700GSと共通だったり、車種をまたがって共通部品が多いメーカーだったりします。なんでもかんでも車種専用で作りがちな日本メーカーとはやり方がちがいますね。

そんな事情もあってか、BMWは大昔の車種から最新の車種まで、かなり多くの車種において同じ吸気温センサーを使っています。
※別品番の車種もいくつか見つけたので、全車種!というわけではありません。
ですが、同じ品番のセンサーが使われているということが何を表すかというと、6%の酸素密度をECUに偽装するために必要な抵抗値というのは、BMWのかなり多くの車両の間で共通だということ。

車種専用と銘うってますし、きっと配線の長さとかが車種ごとに違うのだと推測しています。
もし、新しいBMWの車種が販売されたとして、同じ品番の吸気温センサーが使われていたら、新たにブースタープラグの設計をすることなく、ケーブル長さをちょいと変えてやるだけで実質開発完了です。あとは試走して問題ないか確認するだけ。
たとえ新しい車種が出ても、センサー品番さえ変わらなければコネクタも共通ですし、開発費はゼロなわけです。
この点いい商売になってるんじゃないかと邪推しています。

まとめ

いかがでしたか?
ブースタープラグの仕組みを理解することで、ブースタープラグは面白い燃調カスタム素材になります。

たとえば、キャンセルスイッチを付けたことによるドライブモードセレクタ化が一例。
社外マフラーに交換した場合など、より濃いガスが欲しくなるかもしれません。
そんなとき、キャンセルハーネスに切り替えスイッチと小さな可変抵抗を追加してやるだけで、微調整も楽しめそうですよね。

ブースタープラグは吸気温センサーを備えたインジェクション装備車にドライブモードセレクターを後付けできる可能性を秘めた面白素材です。
探せばいろんな楽しみ方がまだまだ見つかるんじゃないかと思います。
この記事がそのきっかけとなれば嬉しく思います。

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