G650GSのメンテナンス|ピボットシャフト点検

ピボットシャフトの取り付け G650GS

お風呂のお湯が貯まるまで間があったのでスイングアームピボットシャフトのチェックをすることにしました。

前オーナーさんがお手入れをしていたらラッキーですしね。

目視確認します。

やはりスルッと抜けるはずもなく、右足でシャフトを回しながら左手で長めのボルトを構え、右手のプラハンで慎重にシャフトを叩き出します。

やっぱりピボットシャフトまでお手入れする方は稀なのかなぁ。

取り外したピボットシャフト

車齢3年、2万キロオーバーの車両を林道で酷使しています。

それなりの痛み具合です。

組み付けの時、インナーレースが当たる部分にモリブデングリスをちょっと使った様な形跡はありますが、サビを防ぐ程の量は使ってなかった様子。

出荷当時の状態そのままぽいです。

ピボットシャフトはフレームとスイングアームを繋いでいるシャフトです。

スイングアームをフレームに固定しているのは、リアサスペンションとピボットシャフト、基本的にこの2点だけ。

自重を支えつつ50 hpのパワーで進もうとするバイクの推進力を一手に受け止めているスイングアームピボットシャフトは最も大きな力が集中する場所のひとつであり、車体の操縦安定性にとって大変重要な部品です。

基本的にチェック項目は次の3点。

1.全体に曲がっていないか
2.ベアリングインナーレースが当たる部分にカジリや表面の変形はないか
3.雨水や洗車によりサビてないか

直尺を当ててみましたが目視できる曲がりはありません。

サビはありませんがレースの当たる部分、表面状態は変色・初期のカジリぽい怪しい部分はありました。

けど経過観察レベル。

軽く磨いたピボットシャフト

目の細かい耐水ペーパー(2000番)で表面を軽くならしてそのまま組み付けることに。

もちろんサビ予防、極圧性の良いグリスをシャフトにはしっかり塗布します。

一般的にはインナーレースの当たる部分にはカジリ防止の為にモリブデングリスと言われています。

モリブデンは流れ易いとも言われているので、水分により流れにくく、寿命も長いと言われるウレアグリスを使っている方も多くいます。

今回使用したのはそのどれでもなく、リチウム石鹸基を使ったスーパーゾイルグリース(Amazon)です。

名前の通りリチウムグリスの一種で、最近ではウレアグリスの廉価グリスと認識されることが多いグリスです。

このグリスの特徴は極圧性に優れ、発熱時に金属表面で化学変化を起こし、抵抗を低減させる効果が期待できるそうです。

カタログ上はそんな感じのグリスです。

1チューブ2000円と高額ですが2年分くらいあるし、巷でも悪い評判も聞かないので最近よく使っています。

グリスの件はこのくらいにして、ピボットシャフトがこの状態だと過去手を入れられたことはなさそうです。

距離や用途的にもベアリングインナーレースの状態も気になります。

一度スイングアーム外してベアリングのグリスアップを行った方がよさそう。

大きなダメージが無ければそのまま使って3~4万キロあたりでインナーレースとピボットシャフトを新品に変える感じでいいかな。

ピボットシャフトの取り付け

ネットで調べるとピボットシャフトの締結トルクは100N・mとのこと。

今回はカッチリ指定トルクどおりで締めます。

実はここの締結トルク、1割ほど強く締めるとピボット周りの剛性が上がって高速域でのコーナリングに安定感が出ます。

逆に弱めると剛性を落とすことができ、乗り手の体重が軽い場合旋回させやすくなります。

当然BMWはそんな事推奨してません。指定トルクは守るもの。

そんな話をはさみながら、グリスアップして指定トルクで締め直したピボットシャフト。試走すると思いのほか車体にしっかりした感触が生まれています。

3年2万キロ、ずっと高トルクで締め上げられていたフレームとスイングアーム、多少なりとも圧縮され陥没や変形、自然と軸力(≒締結トルク)が低下していたのかもしれませんね。

指定トルクで締結されて、車体はようやく元の剛性感を取り戻したことになります。

チェックだけならそれほど手間のかからないピボットシャフト、1万キロごとくらいの定期的なグリス補給とトルク管理で部品の寿命を延ばすと同時に、車体にヤレ感を起こさせない効果があります。

お手軽で効果の高いオススメメンテナンスです。

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