バイクの整備

チェーンメンテナンスとスプラインの摩耗に関するすこし技術的なお話

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書こう書こうと思って話を寝かせていると、そもそも何を書くつもりだったのか忘れがち。

最近よくこんな事を考えます。

このままボケ切る前にネタは放出しておこうと。

正しいチェーンメンテナンス方法

最近掲示板で見たネタ、『メッキチェーンはメンテナンス不要説』があります。

参照先のサイトをみると、なるほどしっかりした理論で結論を導き出しています。

最新のメッキチェーンならノーメンテでもチェーンとスプロケットの摩耗は低く抑えられるという内容。

実に明快に理屈を説明されています。

正直なところノーメンテもアリだと思いました。

ただ2点だけ、気になったことがあります。

1.チェーン・スプロケットを設計寿命を超えて使いたい場合

ひとつ目は、2、3万キロ毎にチェーンスプロケを交換するなら問題はないけど、チェーンを5万キロ以上持たせる人には薦められないなということ。

やっぱり粘度の低いオイルで地道に作業する方が、チェーンスプロケットは持ちますから。

オイルやルブの値段と作業時間を天秤にかけて、対費用効果という視点から見れば判断が分かれるところ。

ノーメンテの方がいい判断もできるかもしれません。

ノーメンテ、チェーンルブメンテ、オイルメンテ。

チェーン寿命に関してなら、どの方法でも好きなのを選んでも間違いではありませんよね。

もうひとつの気になったこと。

こちらが今回の記事の主題です。

2.カウンターシャフトのスプラインの摩耗に与える影響

実は柔らかいオイルでチェーンをメンテナンスしていると、カウンターシャフトのスプラインの摩耗も抑えられます。

カウンターシャフトというのは、ドライブスプロケットを取り付けているシャフトです。

エンジンから飛び出ているシャフトの先のギザギザ、嵌め合いのミゾがあります。

ドライブスプロケットの中心にも同じ形状のミゾをはめ込む穴があります。

このミゾ、特にシャフト側のミゾを”スプライン”と呼びます。

このスプラインは摩耗し、徐々にガタが大きくなり、最後にはスプロケットが空回りするようになります。

チェーンのオイルメンテナンス、実はカウンターシャフトのスプライン保護に少なからず良い効果をもたらしていたんです。

バイクの寿命とスプライン摩耗の密接な関係

カウンターシャフトのオイル漏れ

スプラインの摩耗、実はバイクの寿命と大きくかかわっています。

スプラインの摩耗でカウンターシャフトを交換しなければならない状況があったとします。

シャフトを交換するためにはクランクを開けなければなりません。

直すために掛かる費用は腰下までの分解、部品代工賃をあわせておそらく20万オーバー。

この金額を出しますか?という話になってきます。

年式や走行距離で決断は変わってくるのですが、多くの方は直すことを諦め、乗り換えを検討します。

チェーンノーメンテという選択、ただでさえスプラインが摩耗しやすい旧アフリカツインやXR600に乗っている方が選んでしまうと、のちのち大変な目にあっちゃうんだろうなぁ

なんて思ったのがふたつ目の気になったこと。

スプラインが摩耗する理由

話が複雑になりそうなので箇条書きします。

スプラインの摩耗、振動が主な原因です。

現象の名前は『フレッティング摩耗・フレッティングコロージョン』です。

かいつまんで説明すると、振動に起因する微小すべりによって起きる摩耗およびその他諸摩耗です。

詳しくは各自調べてください。

なんでこんな曖昧な表現なのか。

それはフレッティングコロージョン自体、完璧に解明されていない、ないし完璧に解明する必要のない複合的な現象だからです。

例えば振動の振幅が小さい場合、化学反応を伴った腐食摩耗が支配的な摩耗となり易いことが知られています。

赤茶けたサビまみれのスプラインはおそらくこれ。

複合的な摩耗現象なので遠縁のものまで含めると原因は様々。

振動、高温、チリやホコリ、高荷重などなど、これらフレッティングコロージョンを呼ぶとされるさまざまな原因はドライブスプロケットの周りに集中しています。

摩耗により発生した生成物、金属粒子は母材を巻き込んで腐食し、さらなる摩耗へと加速していきます。

まさに摩耗と腐食が織りなす2重螺旋の摩耗地獄!

トルク変動や振動、パルス感の大きいシングルやツインエンジンでよく見られます。

しかし振動の少ないスムーズなエンジンだと症状例はやや少なめです。

フレッティング摩耗・フレッティングコロージョンの予防方法

フレッティングコロージョン、様々な摩耗形態を内包したよくわからん現象です。

けれど、原因をこれだ!と摩耗様式を特定することは困難ではありますが、元をたどれば「微小すべりによる摩耗と腐食」です。

なら予防方法、答えはおのずと出ます。

1.摩耗を遅らせるために、極圧性の高い潤滑剤がそこにあればいい。

2.酸化や腐食を遅らせるために、そこに潤滑剤があればいい。

ただそれだけのことです。

チェーンのノーメンテ、ルブによるチェーンメンテをするのなら、スプラインとスプロケットの接触面などにグリスや焼付き防止剤などを定期的に分解・塗布します。

オイルに浸かっていないその他スプラインも同様です。

チェーンをオイルメンテしていれば、常に極圧性の高いオイルがスプロケットとカウンターシャフトをしっとりさせていられるので特にすることがありません。

この対策でスプラインの寿命=バイクの寿命という悲劇的な結末はかなりの確率で抑えることができます。

余談ですが、ステムベアリングのレース打痕もフレッティング摩耗によるものです

回転していないステムベアリングに振動が加わることで起こる微小摩耗、レース上に残る痕、「打痕」と呼ばれていますが現象としては摩耗。

「疑似圧痕」とも呼ばれます。

滑る方向は縦、ステムシャフトの指し示す方向です。

テーパーローラーベアリング、レース上に縦に鋭いミゾが出来る理由です。

対策はやっぱり油脂の有無、そして『与圧をかける』だったりします。

振動による縦方向の微小すべりを発生しにくくするためにあらかじめ与圧をかけるんですね。

当然ステアリングの作動性に影響がでます。

悩みどころです。

大切なこと

ここの締め付け、プロの方でもガタの出ない範囲で限界まで与圧を抜く方がいます。

けれど設計上数値が定められているものに関しては、それは理由があってのことです。

ちょっとカタいかな?と思う指定も、少なくともベアリングの与圧に関する仕様や首まわりの剛性についてある程度は考慮した結果、その部品と数字が使われています。

どうでもよければそこに数値なんて書きません。

ここは目的に応じて調整する楽しみがある反面、あまり独自路線を突き進むと手痛い結果を招く恐れもあります。

私自身いつも思うことですが、ライディングも素人整備も楽しみとリスク、常に天秤にかけて、やるなら慎重に慎重を重ね、整備中も乗車中も決してケガをしないことを第一に考える。

これが長くバイクを楽しむ一番大切な秘訣だと思うのです。

よくわからん締めでしたけど、今回はこれにて。

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